

困難を乗り越え、次の100年へ
2006-2026
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2008/1

ダウケミカルとのパートナーシップ祝賀会
世界的に不透明感を増す経済環境のなかで迎えた2008年1月、シンテックはダウケミカルとの間で、塩ビモノマー購入に関する長期契約の更新に合意したと発表した。
シンテックは、前述のとおり、ルイジアナ州で電解から塩ビポリマーまでの一貫工場の建設を進めていた。これに加えて、従来からシンテックに塩ビモノマーを供給してきたダウケミカルとの間の契約更新によって、原料をより一層安定的に調達できるようになり、シンテックの事業基盤はさらに強固となった。
ダウケミカルと当社の関係は、1969年に当社がニカラグアで塩ビ事業を始めた際に、当時ダウケミカルの中南米のプラスチック部門の責任者であったロバート・ベーカー氏の尽力により、同社から塩ビモノマーの供給を受けたことに始まる。それ以来、40年近くパートナーシップを継続し、1990年にはシンテックがダウケミカルの最大の取引先となったとして、同社から表彰されるにいたった。
また、ダウケミカルの故ブランチ元社長、ポポフ元社長が、ダウケミカルの経営を退いたあとにシンテックや当社の経営に参画するなど、相互に尊敬と信頼の関係を築き上げた。そして、今回の長期契約更新によって、両社のパートナーシップは半世紀を超えることが確実となった。競争の激しいビジネスの世界において、このような長期にわたる友好関係が持続するのは極めてまれなことであった。
今回の契約更新に際して、ダウケミカルのアンドリュー・リバリス社長(Andrew Liveris)から一つの提案があった。それは、当社およびシンテックと、ダウケミカルの経営陣が一堂に会して、両社のパートナーシップを祝おうというものであった。当社はこの提案に歓迎の意を表し、2008年4月30日、東京都内のホテルを会場に祝賀会が開催された。
◆歴史に残る会合
2008年4月30日に開催された当社グループとダウケミカルの祝賀会は、両社の長い歴史のなかでも記念すべき会合となった。
祝賀会当日には多忙なスケジュールの合間を縫って、ダウケミカルのリバリス社長、同社の歴代の社長や塩ビモノマー事業担当者、そして現経営陣が顔を揃えた。十数年ぶりに再会した人たちもあって和気あいあいとした雰囲気の会合となった。
金川社長は、ダウケミカルとの関係の端緒となったニカラグアの塩ビ事業の責任者であり、以来、当社グループの塩ビ事業の責任者として、同社との関係を支えてきた。その経験を背景に、祝賀会のスピーチでは、この信頼関係の歴史を築いたダウケミカル経営幹部の名前を一人ひとり挙げながら謝意を述べた。その心のこもったスピーチは、ダウケミカル側の出席者を深く感動させるものとなった。
ダウケミカルのリバリス社長は、そのスピーチで、両社の長きにわたる歴史に改めて敬意を表するとともに、米国内で後発メーカーだったシンテックを「偉大な会社」に育て上げた金川社長の経営を称えた。
祝賀会の最後に、当社はダウケミカルに七宝焼の絵画を贈呈した。長寿の象徴である鶴が2羽、大空に飛び立つ姿を描いたもので、両社の発展と絆が永遠に続くようにという願いが込められたものであった。
祝賀会のなかで主催者の金川社長が行ったスピーチは以下のとおりであった(実際のスピーチは英語で行われた)。
「本日は皆様ご多忙のなか、太平洋を渡り日本までお越しいただきましたことに深く感謝申し上げます。リバリス社長は極めてご多忙のなか、アメリカでの会議のあとに、休む暇もなく駆けつけていただきましたことに、心から感謝申し上げます。今夜のパーティーはリバリス社長のご提案によるもので、温かいお心遣いに重ねて感謝申し上げます。
リバリス社長のご決断により、このたびダウとシンテックは原料調達の契約更新に至りました。今回の契約更新は、両社の歴史において重要なーページとして永遠に刻まれることでしょう。
リバリス社長はおそらく長旅でお疲れのことと思いますが、十分にくつろがれてパーティーを楽しんでいただきたいと思います。本日はご出席いただきありがとうございます。
1969年に始まりましたダウと信越化学の歴史について簡単に振り返りたいと思います。
この年に、私は塩ビモノマー購入の可能性について話し合うため、ロバート・ベーカーさんとマイアミで初めてお会いしました。そして私たちは、ニカラグアの塩ビ合弁事業の原料をダウから購入することで合意しました。その後、ベーカーさんは1974年8月にダウ・ジャパンを設立され、日本だけでなくアジア市場においてダウの事業拡大にご貢献されました。ベーカーさんは私の親友中の親友です。
ベン・ブランチさんは20世紀後半における偉大な世界的経営者のお一人でした。在任中にダウをアメリカの一企業から世界的なエクセレントカンパニーへと変えられました。ブランチさんには1980年にダウを離れられたのち、シンテックに役員として加わっていただきました。信越化学の社長・会長を歴任された小田切さんとともに、シンテックの成功に貢献していただきました。ブランチさんは私にとりまして特別な友人でもありました。
ポポフさんは1987年にダウのCEOになられました。初めてお会いしたときから、その温かいお人柄にひかれてしまいました。またダウに働く人の一人ひとりの心を掌握されながら、ダウという巨大な組織をさらなる発展に導かれているポポフさんの卓越した指導力にも敬服しておりました。現在はシンテックと信越化学の取締役にご就任いただいており、たいへん貴重なご意見やご助言をいただいています。心から感謝しています。
スタブロポラスさんは1995年からダウのCE○として同社を率いてこられました。21世紀を迎える激動の時代でしたが、適切なご判断を積み重ねられダウを導いていらっしゃいました。重要な買収を指揮され、ダウを世界的なオレフィン会社へと導かれました。スタブロポラスさんは、たいへん先見性に富まれ、ダウとシンテックにとり何がよいかを常にお考えになられていらっしゃいました。忌憚のない意見交換を重ねながら、何度もお話し合いをさせていただいたことを思い出します。
モールマンさんはシンテックの成長を温かく支えてくれました。モールマンさんがダウの電解、塩ビモノマー事業に注がれた熱意と幅広い知識に深い感銘を受けています。
両社の歴史に刻まれる今回の契約更新の時期に、ダウの塩ビモノマー事業を担当されたギャンブレルさん、シップさん、レイノード・デ・フィットさん、シャーさんに深く感謝申し上げます。
ホーラーさん、お忙しいなか、ダウと信越の記念すべきパーティーにご出席いただきありがとうございます。
サイクスさん、2月の社長ご就任パーティーでの力強い決意に感銘を受けました。神永さんには、長年にわたりましてダウ・ジャパンの代表として、ダウと当社の絆をより強めるためにご尽力いただき、ありがとうございました。
先ほど申し上げましたとおり、ダウと信越との結びつきは1969年に始まりましたが、すばらしい思い出がたくさんあります。
私が強調したいことは、ダウとシンテックは力を合わせてさまざまな難局を乗り越えてきたという、まぎれもない事実です。今後、半世紀、1世紀とこのパートナーシップを強めていき、大空に向けて一緒に飛翔したいと思います。
本日お集まりいただきましたことに再び御礼申し上げます。本日はお食事をお楽しみいただき、旧交を温めていただけましたら幸いです。
ご清聴ありがとうございました。どうかくつろいでパーティーをお楽しみください」。
2008/3

2008年3月期13期連続で過去最高益更新
当社は2008年3月期の連結決算において、売上高が前期比5.5%増の1兆3,764億円、営業利益が同19.1%増の2,871億円、経常利益が同21.5%増の3,000億円、当期純利益が同19.2%増の1,836億円となり、13期連続で過去最高益を更新した。当期は特に電子材料部門(当時)が売上高17.8%増の5,647億円、営業利益52.0%増の1,621億円と大幅な伸長となり、全社の業績向上に寄与した。
また、有機・無機化学品部門(当時)は売上高がわずかに減少したものの、シリコーン系やその他の製品群で堅調な推移を示した。塩ビ系製品は売上高・営業利益ともに減少したが、シリコーン系は売上高が微増し、営業利益も増加した。機能材料その他の部門(当時)は売上高・営業利益ともに減少傾向であったが、一部製品は増収増益となった。
当期には、ダウ・ケミカルとのパートナーシップ強化や海外事業の拡大を進め、当社100%子会社のシンテック社(米国)ではプラケマイン第1工場の増設完了により塩ビ生産能力を増強するなど、当社グループの海外事業の成長基盤が整備された。当期連結決算発表では、これらの施策を通じて引き続き安定した業績成長を目指す方針を示した。
2008/4/7

低汚染タイプの建築用シリコーンシーリング材
(概要)従来品と比較して目地周辺の汚れが大幅に低減される低汚染タイプの建築用シリコーンシーリング材「シーラントマスター300LS」を開発し、販売を開始した。これは、1成分形で作業が簡単であり、仕上がりがきれいで施工管理も容易にするもので、ガラスカーテンウォールなどのムーブメントが発生する目地にも最適であり、自己接着性に優れていた。また、シリコーン系のため耐候性や耐熱性に優れ、ガラスや金属だけでなく、接着しにくいアクリル電着塗装やフッ素樹脂塗装などの被着体にも良好な接着性を示した。
(意義)これにより、多様な建築材料への適用が可能となり、建築用シーリング材の性能向上に寄与し、建築物の美観維持などに貢献した。
2008/4/14

高い放熱性と長期信頼性を兼ね備えたシリコーン両面粘着テープ
(概要)新規に開発した放熱用シリコーン両面粘着テープ「TC-20SAS」は、熱伝導率0.7W/m·Kという高い熱伝導性を持ち、耐熱性や電気絶縁性にも優れているため、放熱用途において高い信頼性を実現した。この新製品は、厚みが200μmで標準サイズは300mm×400mmとなっており、ユーザーの要望に応じてサイズのカスタマイズにも対応可能であった。さらに、貼り付け作業性やリワーク性にも優れており、製造現場での取り扱いが容易であることも特徴であった。
(意義)当時、市場に出回っていた両面粘着テープの多くはアクリル系製品であったが、これらは高温環境下で粘着層の性能が劣化しやすいという課題を抱えていた。一方、「TC-20SAS」はシリコーン系の粘着テープとして、耐熱性と長期信頼性を両立させることで、従来品の課題を克服し、放熱用途における新たなソリューションを提供した。
2008/4
(概要)米国の投資家向け雑誌『Institutional Investor』誌が実施した「日本企業のBest CEO」ランキングで、当社の金川社長が化学部門第1位に選出された。これは世界の機関投資家や証券アナリストの投票によるもので、金川社長の経営手腕が国際的に高く評価された結果であった。
(背景) 同誌のランキング投票では、金川社長は1990年に当社社長に就任して以来、約20年間にわたって当社グループを率い、選択と集中の経営戦略を徹底したこと、特に当社100%子会社であるシンテック社(米国)を中心とした塩化ビニール樹脂事業の拡大に注力し、シンテック社を高収益企業へと成長させた点などの経営実績が高く評価された。また、同誌では当社の130期(2007年3月期)業績を高く評価するとともに、「株主は誰のもの」「会社の成長力の源泉は、そこに働く人々の力」という金川社長の言葉を引用し、「優れた業績を従業員の業績に帰している」として、自身の功績を決して誇ることのない人柄を伝えていた。
2008/6/1

シンエツシンガポールのインド駐在員事務所
(概要)当社100%子会社のシンエツシンガポール(シンガポール)は、インド市場のマーケット調査や情報収集を主な目的としてインドのニューデリーに駐在員事務所「Shin-Etsu Singapore Pte. Ltd. India Liaison Office」を開設した。
(背景)当社は、米国、欧州、アジアの各地域でシリコーン事業を展開し、アジアでは韓国、中国、台湾、シンガポール、タイの5か国に生産・販売拠点を設置していた。インドでは急速な経済発展を続けており、シンエツシンガポールでは、アジアにおける事業拡大に向けてインド市場への参入を図り、インド駐在員事務所の開設によってアジア地域でのさらなる事業拡大を目指した。
(成果)このインド駐在員事務所は、インドにおけるシリコーン市場の開拓や顧客ニーズの把握に注力し、当社グループのグローバル戦略の一環として重要な拠点となった。
2008/6/17
(概要)公益社団法人発明協会が主催する「全国発明表彰」(2008年度)で、 当社シリコーン電子材料技術研究所第二部部長の磯部憲一と主任研究員の山田邦弘が「発明賞」を受賞した。 受賞対象となった技術は「熱伝導性シリコーン組成物および半導体装置」で、特許も取得済みであった。この技術は、コンピューターの中央演算処理装置(CPU)の高集積化に伴い深刻化していた放熱問題に対して効果的な解決策を提供するもので、CPUチップとヒートスプレッダーの間に塗布される熱伝導性シリコーン組成物を開発し、従来の放熱グリースや放熱シートでは満足できなかった熱伝導性能と信頼性を大幅に向上させた。この受賞は、同研究所の技術力の高さが、改めて評価されたものといえる。この日、都内ホテルで開催された表彰式では、発明協会の常陸宮総裁から代表者に授与された。
(技術概要) この熱伝導性シリコーン組成物は、グリース状態で塗布でき、熱硬化により高い信頼性を持つ熱伝導物質となるもので、低温特性に優れ、耐熱性も良好なシリコーン樹脂を有機バインダーとして使用した点が特徴である。これによりCPUの放熱効率が飛躍的に改善され、性能向上と信頼性確保に大きく貢献した。結果として、急速に進展する電子機器の高性能化に対応する重要な技術として評価された。
2008/7/2

マイクロコンタクトプリント用シリコーンゴム
(概要)マイクロコンタクトプリント法は、サブミクロンメートルの超微細かつ大面積印刷を可能にする唯一の技術であり、特にフレキシブルディスプレイ用途への応用が期待される技術。当社が開発したシリコーンゴムは、このマイクロコンタクトプリントに不可欠な材料で、従来のフォトリソグラフィーで形成されたマスター型を忠実に再現、転写する機能を持ち、印刷材料として優れた適性を有し、高真空や高温の製造条件を必要としない印刷法の基盤技術として位置付けられた。不純物を最小限に抑え、帯電防止性能を付与することで、印刷工程での品質向上に寄与した。
(背景) この開発は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトの一環として行われた。将来的には、マイクロTAS(マイクロ総合分析システム)やポリマーMEMS(微小電気機械システム)用のモールド材料としての応用も見込まれ、幅広い分野での技術展開が期待された。
2008/7/29

福井分工場が完成
(概要)福井県坂井市の臨海工業団地「テクノポート福井」で当社が建設を進めていた武生工場福井分工場が完成し、竣工式が吉田武生工場長や関係者の参列のもとで執り行われた。新工場は武生工場の北約30キロに位置し、レア・アースマグネットの原料となるレア・アースの分離精製を担い、年間約1,000トンの生産能力を有する大規模な設備を備えていた。この工場の稼働により、当社は高機能磁性材料の安定供給体制を強化し、省エネルギーに貢献する製品の開発と製造を推進した。
(反響)竣工式の同日、関西テレビの報道番組「スーパーニュースANCHOR」では、当社のレア・アースマグネットが特集され、武生工場での製造工程や磁力の強さが紹介された。番組内では、当社の製品が持つ高い特性と省エネ効果が強調され、今後の市場での注目度が高まることが示された。
2008/9/3

福島県西郷村に事業用地取得
(概要)当社は、福島県西白河郡西郷村に新たな事業用地約43.7万平方メートルを取得した。同地は、当社100%子会社の信越半導体の白河工場の近隣に位置しており、同地の取得は半導体事業の拡大と新工場建設を視野に入れたもので、用地取得にあたり、信越半導体は福島県および西郷村と工場立地に関する基本協定書を締結した。調印式は白河市内のホテルで行われ、福島県知事や西郷村長、信越半導体の秋谷社長らが出席した。
(意義)西郷村は東北新幹線新白河駅や東北自動車道白河インターチェンジが近く、交通の要衝としての利便性が高い地域であり、この立地条件を活かして当社が新たな事業展開を図ることで、地域経済の活性化にも寄与することを目指した。
2008/9/13

ハリケーンアイクがテキサス州に上陸
(概要)ハリケーンの強さを示すスケールで上から2番目の強さを示す「カテゴリー2」の大型ハリケーン「アイク」が、テキサス州南東部のガルベストンに上陸。最大風速は約95ノット(約176km/h)に達し、中心気圧は950hPaであった。ハリケーンはメキシコ湾を北上し、テキサス州とルイジアナ州の沿岸地域に広範囲な強風と洪水被害をもたらした。NASAの衛星画像でもその巨大な中心部が確認されている。
(影響と対応)当社100%子会社のシンテック社(米国)のフリーポート工場では、ハリケーン接近に伴い、従業員は家族とともに内陸部へ避難した。工場には保安員数名が残り、施設の安全確保に努めることとなったが、工場の一部従業員は避難命令が発令される中でも自ら志願して残り、工場の操業維持と被害軽減に尽力した。
2008年にはハリケーン「アイク」が上陸する直前の9月1日にも、ハリケーン「グスタフ」がルイジアナ州に上陸し、シンテック社のプラケマイン工場が襲われたが、建屋は強風にも耐えることのできる設計であったため、軽微な被害に留まった。
2008/10/30

直江津工場医薬用セルロース生産能力増強
(概要)当社は、新潟県上越市の直江津工場における医薬用セルロース製品、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)の生産能力を約3割増強する計画を正式に発表した。この増強は、医薬品添加剤用途の需要拡大に対応するためのものであり、設備の完成は2009年12月末を目標としていた。
(背景)この生産能力増強は、2007年3月に発生した直江津工場の爆発火災事故の影響を受けた医薬品添加物の供給不足を解消し、安定供給体制の確立に寄与するもので、セルロース誘導体事業の中核をなす医薬用製品の供給体制を強化する狙いがあった。直江津工場の増強に加え、当社100%子会社のSEタイローズ社(ドイツ)でも生産能力の拡大を進めており、これにより世界トップクラスの生産能力を維持し、グローバル市場での競争力を一層高めることを目指していた。
(意義)直江津工場の医薬用セルロース製造設備の増強は、事故後の直江津工場の復興と信頼回復の一環として、積極的に設備投資を実施したもので、これにより医薬用セルロースの生産能力が年産約2万トンから約2万3千トンに引き上げられた。
2008/12/10
(概要)1962年より当社の欧州における塩ビ製造販売の拠点となってきたシレス社(ポルトガル)の完全子会社化を目指すことを正式に発表した。これはシレス社の事業運営のスピードアップと欧州における塩ビ事業の拡大を図るもので、当社のヨーロッパ現地法人であるシンエツ・インターナショナル・ヨーロッパ(SEIE、オランダ)を通じて進められた。
完全子会社化の手続きは段階的に進められ、2008年12月9日にシレス社の主要株主の一つであるINEOS Chlor Vinyls Holdings B.V.からシレス社発行株式の26.23%を買い取る契約を締結し、当局の承認を経てSEIEのシレス社に対する出資比率を52.31%とした。さらに、 この完全子会社化により、当社との連携を一層強めることでシレス社は生産技術力や販売力の一層の向上を図ることが可能となった。また、これにより当社グループは、欧州における塩ビ事業の収益力強化と事業拡大およびグローバルな事業成長の基盤強化に成功した。
2008/12/16

新タイプのシリコーン熱伝導性フェイズチェンジマテリアル
(概要) 新タイプの熱伝導性フェイズチェンジマテリアル「PCS-LTシリーズ」を開発し、販売を開始した。この製品は、熱によりシート状のポリマー成分が軟化して基材に密着し、熱抵抗を低減させることで優れた放熱効果を発揮するもの。従来品に比べて柔らかく、基材への貼り付けが容易でリワーク性にも優れていた。また、低圧力でも薄くつぶれる特性を持ち、段差のある発熱面に対しても高い放熱効果を示した。これにより、パソコンや家電、ゲーム機器、自動車の電装品、LED部品など幅広い分野の発熱対策に貢献することとなった。
(背景)当社では、ゴムシート、グリース、ゲル、接着剤などの各種放熱用シリコーンをラインアップしており、本シリーズの提供により、より一層幅広い用途の放熱課題への対応が可能とし、その後も高度化する市場のニーズに合わせた製品開発を進めた。
2009/1/26
(概要)ムーディーズ・インベスターズ・サービスが発表した世界の化学会社の長期債務格付けで当社はAa3の評価を受けた。従来、当社とともに首位の格付けであったBASF(ドイツ)は、格付け変更によりクラレ(日本)とともにA1の格付けで2位となったことで、当社は単独首位となった。
(意義)ムーディーズは世界的に権威のある信用格付け機関であり、その評価は世界の資本市場における投資判断に大きな影響を与えている。ムーディーズによる高い格付けは、当社の財務健全性と信用力の高さを示し、投資家に対して当社の信用力と安定性を強くアピールし、資金調達面での優位性を確立することとなった。
2009/4/1
(概要)当社は2009年度より国立大学法人東京大学と「汎化学に関する知の構造化」を目指した共同研究を開始した。これは化学を基盤に機械・電気・加工技術など異なる分野を横断的に結びつけ、知識の体系的な構造化を進めることを目的としたもので、東京大学の「知の構造化センター」が主導し、領域横断的な研究教育プロジェクトとして推進された。研究ではマクロからナノメートルスケールまでの拡張ナノ空間の理工学や、各サイズで制御された構造の解析など、多様な科学技術の融合が図られた。
(意義)一連の研究により、当社は東京大学とともに新たなイノベーションを惹き起こし、創造される「知」を経済的価値、社会的価値に結びつけ、研究成果を社会に実装していくことを目指し、本研究の成果を当社の事業・製品の拡大や強化につなげていくこととした。
2009/5/26
(概要)当社は、高輝度LED用のシリコーン封止材料「ASPシリーズ」を開発し、液晶テレビのバックライト光源用LED向けを中心にサンプル出荷を開始した。これは、耐熱性を維持しつつ、従来のメチル系材料の100分の1、フェニル系材料の10分の1程度までガス透過性の大幅な低減を実現したもの。 従来のシリコーン封止材料はガス透過性が高く、酸素などの気体が透過しやすかったため、LEDの周辺部材に酸化や硫化が発生し、輝度の低下を招く点が課題となっていた。この新製品はこの課題を克服し、周辺部材の腐食を防止することで高輝度LEDの信頼性を飛躍的に向上させた。メチル系シリコーンと同等の耐熱性を保ちながら、ガス透過性を従来の10分の1程度にまで低減し、フェニル系シリコーンと比較しても同等の低ガス透過性を持ちつつ、耐熱性は大きく上回る性能を示し、この製品の導入により、LEDパッケージ材料の性能向上と長寿命化が期待された。
2009/8/14
(概要) 当社は8月14日付で欧州における塩ビ製造販売の関連会社であるシレス社(本社:ポルトガル、社長:R.B.オルタ)の完全子会社化の手続きを完了した。これによりシレス社は当社グループの100%子会社となった。この手続きは、前年の2008年12月10日の発表以降、当社のヨーロッパ現地法人であるシンエツ・インターナショナル・ヨーロッパ(SEIE社)を通じて進めてきたもので、主要株主の一社であったINEOS Chlor Vinyls Holdings B.V.からの株式取得の後、残り約47%の株式に対して公開買付け(TOB)を実施し、三井物産グループをはじめとする株主が応じた。
(意義) 完全子会社化によりシレス社と当社の連携を強化することで事業運営のスピードアップを図り、欧州における塩ビ事業の拡大を推進することであった。シレス社はこれにより当社グループの一員として生産技術力と販売力のさらなる向上に努め、収益力強化を目指した。
2009/8/24

OFS社と光ファイバー用プリフォームライセンス契約
(概要)当社は、古河電気工業株式会社の米国子会社であるOFS社と光ファイバー用プリフォームの製法に関する特許ライセンス契約を締結した。この契約は、OFS社が保有する米国特許第6,131,415号およびその各国特許に基づくものであり、光ファイバーの母材となる高品質なガラスプリフォームの製造方法に関するものであった。
ライセンス契約の対象となったのは、VAD法(Vapor-phase Axial Deposition)を用いたコアロッドと石英管を組み合わせたハイブリッドガラスプリフォームの製造方法で、特に低OH性能(※)を有する高品質な光ファイバー(Low Water Peak Fiber)の安定的な製造を可能にする技術。Low Water Peak Fiberは業界で最も厳しい規格を満たす標準シングルモード光ファイバーであり、OFS社はこの分野のパイオニアとして知られていた。(※ 低OH性能とは、OH(水酸)基の含有量が極めて低く光の吸収損失を抑え、幅広い波長で高い透過率を発揮する性能)
(意義)このライセンス契約の締結により、当社は光ファイバー用プリフォームの生産能力を増強し、高品質プリフォームの製造を安定化させることが可能となり、光通信分野における競争力を強化して世界市場でのシェア拡大を目指す重要な一歩となった。
2009/9/10
(概要)高輝度LEDに使用されるリフレクター材料「SWCシリーズ」と透明で高耐熱性の保護フィルム材料「LPS-AFシリーズ」を開発し、照明用や液晶テレビのバックライト光源用LED向けを中心にサンプル出荷を開始した。これらは高い信頼性と反射率を実現し、量産性と加工性も兼ね備えるもの。「SWCシリーズ」は、耐熱、耐光性に優れたシリコーン樹脂で、光反射率も98%以上と高く、高強度の短波長光に長期曝されてもLEDの輝度低下が無いなど他の材料では達成できなかった特長を有していた。また、透明保護フィルム「LPS-AFシリーズ」は、耐熱、耐光性に優れた透明なシリコーン保護フィルムで、LEDチップ表面に貼ることでLEDを保護する。蛍光体を混ぜ合わせた場合、LEDの発光する青色を均一かつ容易に白色に変換することを可能とした。
2009/10/7

優れた特性を兼ね備えた低硬度放熱シリコーンゴムシート
(概要)高いコストパフォーマンスを実現した低硬度放熱シリコーンゴムシート「TC-CAシリーズ」を開発し、同日に販売を開始した。これは、従来品と比較して熱伝導性の向上、低硬度化による良好な圧縮性と応力緩和特性、優れた作業性と加工性、そして低比重という複数の優れた特性を兼ね備えるもので、当社のポリマー技術とフィラー配合技術を駆使し、高い熱伝導性と電気絶縁性の両立を実現。軽量化や効率的な熱対策が求められる電子機器に最適な製品として上市された。 主な用途はノートパソコン、LED照明、ハイブリッド車や電気自動車などに搭載される各種電子デバイスの熱対策で、これらの分野での放熱性能向上と製品の信頼性向上に寄与した。特に電子デバイスの熱管理において、密着性と柔軟性が求められる場面で高い評価を得た。
2009/10/9
(概要)当社100%子会社のシムコア社(オーストラリア)は、西オーストラリア州にある金属ケイ素の製造工場の生産能力を従来の年間生産能力32,000トンから、第一期増設では16,000トンを増やし合計48,000トンに引き上げ、第二期増設でさらに年間16,000トンを増設し、2013年末までに年間64,000トンの生産能力とする計画を公表した。なお、第一期増設にかかる投資額は約80億円で、完成は2011年末を目標とした。
この増設計画は、将来的な原料需給の変動や価格変動に対応するための資源確保を目的としたもので、これを通じて当社は主要製品の原料調達を素原料レベルから強化し、事業基盤の安定化を図った。当時、世界的に金属ケイ素の需要が高まっており、とりわけ特に半導体や太陽電池用シリコンの原料としての需要が急速に増大していた。この増設計画は、金属ケイ素の供給不足や価格高騰などのリスクを回避し、当社グループの原料調達力を強化するため戦略的に決定したもので、当社グループの安定的な製品供給を支える基盤となった。
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