信越化学工業は創立100周年を迎えました信越化学工業は創立100周年を迎えました
第6章

困難を乗り越え、次の100年へ

既存事業の強化と新製品の開発

2006-2026

この章で知れること

  • 東日本大震災やコロナ禍などの危機を乗り越えた信越化学の姿
  • シンテックでのエチレンの生産開始、56年ぶりの国内工場建設など新たな取り組み
  • 連結売上高2兆円、連結経常利益5千億円の達成

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既存事業の強化と新製品の開発

2006/2/1

三益半導体工業の株式公開買付(TOB)完了 (当社の議決権比率が42%となる)

  1. (概要)当社は、半導体関連事業の強化を図り、その一環として三益半導体工業との資本提携と経営統合を進めた。このため、当社は2005年8月に三益半導体工業の第三者割当増資を引き受けて持株比率を27.1%に引き上げ、同年12月13日より実施したTOBにより予定通り6,000,000株を取得し、同社に対する持株比率を41.3%とした。このTOBの成功により、当社は半導体市場における事業展開を加速。技術開発や製品ラインアップの拡充を推進し、競争力の強化と市場シェアの拡大を進めた。

2006/4/1

磯部セミコン、エスアイセミコンサービスに社名変更

  1. (概要)当社グループ会社である磯部セミコン株式会社は。2006年4月1日をもって社名をエスアイセミコンサービス株式会社に変更した。この 社名変更に合わせて組織改正も実施され、当社磯部工場で業務を行っていた磯部セミコンはエスアイセミコンサービス 磯部事業所と名称変更された。また、代表取締役の上田英継氏が退任し、岩崎健太郎氏が新たにエスアイセミコンサービス株式会社の代表取締役に就任した。これにより、新体制のもとで社名変更後の事業運営が開始された。

    (その後)2020年4月にエスアイセミコンサービスは、シンエツエスアイセミコンに社名変更した。

2006/7/20

独占禁止法遵守指針改定

  1. (概要)独占禁止法の改正を受け、当社は同法遵守指針を改訂、より実効性の高い法令順守を図った。

    (経緯)2006年1月4日に施行された改正独占禁止法(平成17年)では、主に①課徴金算定率の引き上げ②課徴金減免制度の導入③公正取引委員会の犯罪調査権限の導入④審判手続きなどが改正された。当社は、この改正独占禁止法(平成17年)とともに、景表法や下請法などの改正に対応する形で独占禁止法遵守マニュアルを改訂し、社内への周知、社員教育や内部監査の強化を進め、法令遵守の徹底を図った。

2006/9

シンエツPVC社、塩ビ設備増強工事完成(年産45万t)

  1. (概要)当社の100%子会社である シンエツPVC社(オランダ)は、オランダのPernis工場における塩化ビニル樹脂(PVC)の生産能力を年産35万トンから45万トンへと増強する設備増強工事を完了し、本格稼動を開始。投資額は約50百万ユーロ(約75億円)で、同社では当初予定の2006年10月を前倒しでこの増強工事を完了した。

    (経緯)この時期、欧州では特に上下水道用パイプに加えて、省エネ対策として断熱性が求められる窓枠用途での需要が堅調に伸長するなど塩ビ需要が拡大していた。PVC生産設備の増強はこれに応えるもので、安定供給体制の強化を目指した。同社では2003年11月に塩化ビニルモノマー(VCM)の生産能力を年産50万トンから62万トンへ増設しており、同社は今回のPVC増強により欧州における塩ビ事業の基盤を強化し、欧州市場の需要動向を注視しながら、さらなる生産効率の向上を目指す方針を示した。

2006/9

SEタイローズ社、メチルセルロース設備増強工事完成(年産4万t)

  1. (概要) 当社100%子会社であるSEタイローズ社(ドイツ)は、メチルセルロースの生産設備増強工事を完了し、同社のメチルセルロースの生産能力は年産2万7千トンから4万トンへと大幅に増強された。増設工事は当初の予定通り第3四半期に完了し、ドイツ・ヘッセン州のコッホ州知事らを招いて竣工式が執り行われた。

    (経緯)この増強は、セルロース誘導体の主要用途である建材および医薬向けの需要が、世界規模で順調に伸長する見通しを受けて実施されたもので、当社直江津工場の生産能力も年産2万トンから2万3千トンに拡大され、SEタイローズ社と合わせた当社グループのメチルセルロースの総生産能力は年産6万3千トンとなり、世界最大の生産体制を確立した。

    (その後)SEタイローズ社では2009年に医薬用メチルセルロースの生産設備を新設し(※)、建材用メチルセルロースの生産能力も増強。これにより、当社グループは医薬、建材、土木など多様な用途に対応する日欧の二極体制で、安定供給体制を強化し、世界市場におけるトップシェアの地位を揺るぎないものとした。(※「2007年9月6日」に関連項目)

2007/1/18

欧州RoHS規制をクリアする光通信用部品を開発

欧州RoHS規制をクリアする光通信用部品

  1. (概要)当社は、独自の結晶成長技術を用いて光アイソレータの主要構成部品となるファラデー回転子から鉛を完全に除去する製造技術を開発した。この技術により、光アイソレータを鉛非含有化を実現し、欧州連合(EU)のRoHS指令に適合する製品の製造を可能とした。

    (経緯) EUでは、2006年7月に施行したRoHS指令により、電気・電子機器に含まれる鉛を原則全廃する環境規制を導入。通信装置に組み込まれる光アイソレータについては、技術的な課題から例外措置として鉛含有基準値を1000ppm以下に規制するとしていた。当社は鉛非含有のファラデー回転子の量産技術を確立したことで、光アイソレータの全面的な鉛非含有化を実現。環境規制の強化に先駆けて市場ニーズに応える体制を整え、FTTH(Fiber to the Home)向けの光ファイバー通信サービス市場の拡大への対応を進めた。

2007/1/31

超低硬度タイプの放熱用シリコーンゴムシートを開発

超低硬度タイプの放熱用シリコーンゴムシート

  1. (概要)当社は、超低硬度タイプの放熱用シリコーンゴムシート「TC-SP-1.7シリーズ」を開発し、この日、全国に向けてプレスリリースを行った。同製品は従来品に比べ硬度が約10分の1と非常に柔らかく、発熱面の凹凸に対しても優れた密着性を有し、放熱効果を大幅に向上させた。これにより従来は難しかった超低硬度と高い熱伝導率の両立を実現し、段差のある面にも対応可能であったため、製品設計の自由度を高めることができるなど、電子機器の熱対策に新たな解決策を提供した。

    (意義)同製品は当社独自のポリマー技術とフィラー配合技術を活用し、柔軟性と熱伝導性を兼ね備えた材料を実現したもので、凹凸のある発熱面でも均一に熱を伝えることが可能となり、電子機器の信頼性向上に寄与した。

2007/3/8

凸版印刷と最先端フォトマスクブランクスを共同開発

凸版印刷と共同開発したフォトマスクブランクス

  1. (概要) 当社は凸版印刷とともに、半導体製造工程で45nm、32nmに対応する最先端フォトマスクブランクスを開発した。これにより、フォトマスクの微細加工精度が大幅に向上し、高精度かつ信頼性の高いフォトマスクの供給が可能となった。半導体の微細化に伴い製造プロセスの難易度が増す中、材料や装置を含めた総合的な開発が不可欠であり、両社の協力はその課題解決に寄与した。

    (経緯) 共同開発では、当社がフォトマスクブランクスの材料開発を担当し、凸版印刷が開発品の評価およびフォトマスク製造の新プロセス開発を担った。従来のフォトマスクブランクスを根本から見直し、革新的な材料構成を実現したことで従来製品にはない性能向上を達成。半導体製造の最適化に要する時間の短縮を求めていた半導体メーカーの期待に応えた。

    (意義)この共同開発は、シリコンウエハー生産の世界No.1企業である当社の技術力と、フォトマスク世界No.1企業である凸版印刷の製造技術を融合させたもので、最先端半導体の製造プロセス構築段階におけるフォトマスクの性能向上に大きく貢献し、半導体産業の微細化技術の進展を支えた。

2007/3/20

直江津工場セルロース設備爆発事故

直江津工場セルロース製造設備の事故現場

  1. 第130期末を間近に控えた2007年3月20日午後4時25分頃、直江津工場第3製造部のセルロース製造設備(MC-Ⅱ工場)で、粉塵爆発と思われる爆発火災事故が発生した。現場で作業中の17名が負傷した(重体3名、重傷5名、軽傷9名)。事故にともない近隣住民の一部は緊急避難を行った。鎮火を確認したのは、同日午後11時11分であった。
    金川社長は事故直後から、現地対応については森俊三専務に全権を与え、負傷者や近隣住民への対応、当局への対応にあたらせた。
    直江津工場は事故の翌朝から工場周辺を戸別訪問し、お詫びと被害状況の調査を行った。その結果、判明した被害は軽傷1名、物損被害は民家の窓ガラスやサッシなどの破損で22件であった。
    当社は事故発生と同時に災害対策本部を設置して、負傷者が最高の治療を受けられるように最善を尽くすことと、負傷者の家族や近隣住民への対応を最優先事項とした。翌21日には警察、消防など関係当局による実況検分が行われ、本格的な事故原因の調査が始まった。当社も3月23日、事故原因の調査と安全対策の見直しを目的として、災害対策本部内に、秋谷文男専務と幅田紀一常務を責任者とする「事故原因究明・安全対策委員会」を設置した。
    当社グループは経営目標に「安全・環境第一」を鉄則として掲げ、製造設備の環境保安対策、環境保安に関する教育、安全管理体制の整備などを行い、その徹底を図ってきた。それにもかかわらず事故が発生したことを厳粛に受け止めた。
    直江津工場、セルロース部、広報部は事故に関する状況が判明し次第、すみやかな情報開示に努めた。また金川社長は3月22日に本社、23日に上越市で謝罪の記者会見を行った。会見のなかで金川社長は、最高責任者として事故の全責任を負うとして、2007年3月以降半年間にわたり、自らの報酬の50%を返上する処分を発表した。
    現地で会見を行った3月23日には、金川社長、森専務、桐祗崇直江津工場長が上越市長、上越市議会議長、上越地域消防事務組合消防長、上越警察署長、上越労働基準監督署長を訪れ謝罪した。
    直江津工場内の設備は事故発生で使用を停止したが、セルロース製造設備以外は安全確認が完了し、当局からの使用許可と近隣住民の理解が得られたため、3月25日午前9時から逐次、操業を再開した。
    3月26日、金川社長は、当社各工場およびグループ各社に対して「工場安全の徹底について」通達を発し、原点に戻って工場の安全について大至急点検・確認して必要な改善を実施し、その結果を報告することを指示した。
    4月5日には、金川社長と幅田常務、桐工場長が新潟県知事、新潟県警察本部本部長を訪れ、謝罪した。直江津工場のセルロース製造設備は5月22日から、その一部が操業を再開した。このときの泉田裕彦新潟県知事の助言も受けて、当社は生産現場の小さな危険も含めた安全対策をいっそう推進するため、「ヒヤリハット(ヒヤリあるいはハッとして、あわや事故になりかねない危険な事例)」について緊急アンケートを社内で実施。その回答内容を当社グループ全体で共有するとともに、5月1日にホームページに掲載して、社外に公表した。

2007/3

BAKER-KANAGAWA日米奨学金制度を設立

ロバート・ベーカー氏

  1. (概要)国際的に活躍する人材を育成し、日米間の交流をさらに深めることを目的として、当社金川社長とロバート・ベーカー氏の出資によって設立。 当初は当社グループに勤務する日本人従業員の子女で、米国内の大学に留学する学生を対象としていたが、その後の制度拡充により、米国人従業員の子女で日本の大学に留学する学生も奨学金の対象に加えられた。これにより日米双方の次世代を担う若者の学び続ける意欲を支援し、将来の両国の架け橋となる人材育成に寄与している。

2007/7/4

耐アルカリ性に優れた自己乳化型シリコーン消泡剤を開発

  1. (概要)pH=10以上の強いアルカリ性を有する発泡液に対しても優れた消泡効果を持続的に発揮する自己乳化型シリコーン消泡剤「KS-540」を新たに開発した。これは、パルプ製造プロセスや水性切削油剤、各種アルカリ性洗浄剤、界面活性剤など、強アルカリ性や高温条件での泡の抑制が求められる多様な産業用途に最適な製品で、少量の添加で効果を発揮し、従来品と比較して消泡効果の持続性と添加安定性が大幅に向上した。従来の消泡剤では満足できなかった強アルカリ性や高温環境下でも高い消泡性能を示し、発泡液中での分離や沈殿を起こしにくい安定性も兼ね備えていた。

    (意義)当社はこの製品の開発により、環境対応型素材の提供を強化。幅広い産業分野における品質向上や工程効率化に貢献し、同社の技術力と製品力は、業界内外から高い評価を得た。

2007/9/12

各種LED用シリコーンダイボンド材を開発

各種LEDダイボンド材

  1. (概要)高輝度LEDの信頼性向上に貢献するシリコーンダイボンド材として、熱や光に対する長期信頼性が高く、変色が少ない透明タイプの「KER-3000-M2」、白色タイプの「KER-3100-U2」、および熱抵抗が小さく放熱特性に優れた「KER-3200-T1」の3種類を開発、販売を開始した。

    (経緯)ダイボンド材はLEDチップをリードフレームに固定する接着材料であり、従来はエポキシ樹脂が一般的に使われていたが、高輝度LED用には信頼性の観点からシリコーンが不可欠な材料として注目されていた。当社はこのニーズに応え、長期にわたり高い信頼性を発揮するシリコーン系封止材料や放熱材料、防湿絶縁材料などの周辺材料もラインアップした。

    (反響)同年10月にアメリカ・カリフォルニア州サンディエゴで開催された「LEDs 2007」展示会において、当社シリコーン事業本部は、当社100%子会社であるシンエツシリコーンズオブアメリカ(米国)およびシンエツマイクロサイ(米国)と共同で出展し、この新製品の紹介を行い、多くの来場者の関心を集めた。

2007/12/13

J-SOXに対応し、「財務報告に係る内部統制基本方針書」を制定

  1. (概要)当社は、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制報告制度(J-SOX)への対応を目的として、「財務報告に係る内部統制基本方針書」を制定した。これは、金融庁の「財務報告に係る内部統制の評価および監査に関する実施基準」に準拠しており、当社グループ全体の内部統制の基本計画、方針・原則、適用範囲、水準、構築および評価の体制や組織、手順、日程などを詳細に定めたもの。これにより、連結財務諸表を構成する各社の内部統制の有効性を体系的に管理・評価する枠組みが整備された。

    (意義)当社では2006年12月に発足したJ-SOX推進チームが中心となった社内での準備活動とともに、本方針書の制定などを通じて、2009年3月期(第132期)からJ-SOX制度の適用開始した。これにより、財務報告の信頼性向上と透明性確保をいっそう進展させ、法令遵守と企業価値の向上に寄与する内部統制体制を確立した。

2007/12/13

高速加硫型成形用シリコーンゴムを開発

  1. (概要)従来の約5分の1の速さで加硫(硬化)する高速加硫型成形用シリコーンゴムを開発し、販売を開始した。新製品はゴム硬度40度の「KE-594」とゴム硬度70度の「KE-597」の2種類あり、これらをブレンドすることで必要な硬度の製品を得ることができた。

    (意義)この高速加硫型シリコーンゴムの開発により、成形時間が大幅に短縮されるため、時間当たりの成形個数が増加し、金型や成形機、人員に係るコスト低減や省エネルギー化に貢献、さらに金型の取り数が減少したことで成形作業の効率化も実現した。 ゴム成形メーカーにとって生産性向上やコストダウンを実現する重要な技術革新となり、当社のシリコーンゴム製品ラインアップの競争力強化に寄与することとなった。